石巻・川の上プロジェクトのデザインについて
今日は3月11日。あれからもう7年が経ちました。
直後に私が感じたあの気持ちや行動と、「今」を比べると変わっていないようで変わってしまったことがあるなと思うことがあります。
ふと、去年は東北に旅行しなかったなぁとか、また会いにいくといっていっていないなとか、考えます。
そんな一昨日は、石巻の川の上プロジェクトの方の話を聞く機会がありました。
「まちを耕し、ひとを育む」というコンセプトのもと、
7年前から発足して活動している団体です。
震災直後の移転により、新旧住民が一緒に生活されていく中で、
「居場所」「教育」「暮らし方」を軸としてデザインをしていくという話でした。
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川の上プロジェクトは、新旧住民による学びの場づくりとして2015年に「百俵館」をオープンしました。
まちの図書館でしたが、地域のお母さんたちが切り盛りしているカフェをはじめとして音楽会、寺子屋、マーケットなどのイベント運営を行っているそうです。
この建物もすごくて、
地域の皆さんで、塗装や石張りをして作り上げたそう。
この場所が出来てから、だんだんと人が行き交う中でつながりができてきたというエピソードをたくさん聞かせていただきました。
地域の住民が運営されているそうですが、子供も大人も自主的に企画をして、イベントをやっているというところにとてもびっくりしました。
一番印象的だったのは、地域の子供が主体で「お祭り」をやったということ。
そこには大人の方がたくさん来て、みんなで子供を支えながらお祭りをやりきった!ということ。
さらに、地域住民の声から、また新たに「耕人館」という学びの施設ができるそうです。
子供から大人まで、ハンデのあるひともないひとも、お年寄りも赤ちゃんも共に学びあい、支えあい、伝承のための「地域の学び舎」をつくっています。
「声」というのは地元の女の子から、「百俵館を自習スペースとして利用したいけれど、混雑してくると周囲のお客さんが気になって集中できない」という話があり、その課題を聞いて「つくろう!」と思ったそうです。
この施設には「たねもみ広場」というものがあり、薪を一つ一つ集めて形を整えて、積み上げて・・という途方に暮れてしまいそうな作業を地域の住民の方中心にやっているそう。でも、関わる人は積極的にやっているというエピソードも聞かせてもらいました。
2018年には防災集団移転により沿岸部から約400世帯が移り住む予定があります。
もともと川の上地区には約400世帯の住民が住んでいますので、新たに約400世帯の人たちが移転することになるということになるそうです。
★★
7年間、この活動を続けていられることにまず驚きでした。
運営の主体となっているのは東京在住のメンバーということ、
地域の方がイベントを主体的に開催していること。
とても時間がかかることを、皆さんで協力してやっていること。
とてもすごいことだと思います。
やりたいことを自主的にやる流れをつくるって、本当に難しいことだと思います。
それが自然にできるようになっているということにすごく心を動かされました。
きっと、そこまでの過程には私には計り知れない大変さや苦労がもちろんあったんだと思います。ポジティブな話だけではなかったんだと思います。
ですが、それを続けていること、かたちにしていること、発信していることに頭が下がる気持ちでした。
特にびっくりしたのは、運営主体の方やデザイナーさんが東京在住で別の仕事をしながら運営されていること。きっと、突き動かした行動の根源(想い)みたいなものはシンプルで、やっていくうちに色んなことがつながってのめり込んでいったんだろうな....と思いました。
私は東京にいながら何を出来るんだろう・・と話を聞きながらずっと考えていました。
色んな立場から関わっているデザイナーさんも多くいらっしゃっていて、いまの自分と向き合うとても良い機会になりました。
本当にお話を聞かせていただいたこと、とても感謝いたします。
ことしは絶対、石巻の川の上にいってみたいと思いました。