カクシンハンのハムレットがすごかったです。
先週、カクシンハンの舞台「ハムレット」を見てきました。
劇作家、シェイクスピアが書いた物語。
蜷川幸雄さんはじめ、多くの演出家さんたちが舞台演出を手掛けてきたそうです。
すごかったです。良かったです。
見た直後の感想は、「疲れた」でした。
生身の人間エネルギーがぎゅっと凝縮されていて、
舞台に引き込まれる瞬間がたびたびありました。
そのおかげで、一緒になって舞台をやったような感覚で疲れてしまいました。
同時に人生を駆け抜けた爽快感にあふれていて、何だか初めての体験でした。
アフタートークで役者さんが、
登場人物を「演じる」ではなく、「一体化している」という表現に近い
といっていたのがとても印象的でした。
役者さんの「身体」はそのままだけど、「魂(たましい)」が違うような感じ。
身体を借りて、魂はその人とは違う、乗り移っているような感覚でしょうか。
ハムレットの物語は残酷です。
裏切りの連続から起こる憎悪、引き裂かれた愛、そして死。
決してきれいな物語ではありません。でも、観た後、人生を全速力で駆け抜けた爽快感でいっぱいになったのはなんでだろう・・と自問自答しました。
絞り出した答えが、「それが人の一生だ」ということ。
きれいなことばかりではなく、汚いこと、大変なことも含めて一生に詰まっているエッセンスなんだろうなと思いました。
とくに私は今まで、のほほんと、のんびり平和に暮らしてきたので、
頭をガツンと打たれた感覚です。
劇中、現代エッセンスが所々に散りばめられていているのも見ものでした。
若者が集う街、渋谷のスクランブル交差点を連想させるようなシーンから、舞台は始まりました。
大勢の人が行き交う中で、真ん中で倒れた1人の人にスポットが当たります。
「周りの人」は誰も気にせずただひたすら歩いています。
歩く、走る。倒れている人がいても気にしない。
小さな舞台で行ったり来たり。繰り返されます。
そこから、舞台は始まりました。
「周りの人」は劇中たびたび出演し、残忍なシーンを無表情で、ただ見つめています。
顔色変えずに、ただひたすら見る。
あぁ。普段、私たちもこんな感じなんだろうと思いました。
悩みを抱えて生きている人は世の中にたくさんいるはずです。
でも、自分のことで頭はいっぱいいっぱいです。
人は自分に余裕がないと、人に優しくできません。
でもそれが今の「現代」を象徴しているのです、と。
私の中で、400年前のシェイクスピアと現代が重なった瞬間でした。
最後に、人が死んでいくシーンや墓に埋めるシーンは、明るい音楽でとても爽快な気分になりました。
まさか、「スーダラ節」が出てくるなんて。びっくりでした。
★★
感じることが多い舞台でしたが、こういうものをたくさん見て、
自分の創作活動に生かせるように頑張りたい!と強く思いました。
人に何かを伝えることって、すごいパワー。
あれだけのセリフ量を読み込んで、覚えて、ひとつのかたちにする。
想像を絶するエネルギーを使うと思います。
それがちゃんと出来るっていうのは、やっぱり人は無限大のパワーを持っているんだと実感しました。
人生をかけてやりたいことを私も見つける。
今年の私のテーマです。
カクシンハンさん、木村さん、
とても大きな刺激になりました。
ありがとうございます。